仮想かな。

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predictive DRSの使いどころを考える。

本記事では、vSphere 6.5から実装されたpredictive DRSの使いどころについて考えます。

 現状 日本語で情報があまり出ていないので、使用するかどうか 検討の一助となれば。

 

 

Predictive DRSの基本

Predictive DRSは、vSphere DRS(Distributed Resource Scheduler)とvROps(vRealize Operations)を

連携させることで、仮想マシンの配置とリソースのバランスをPredictive(予測)して最適化するための機能です。

 

そもそもDRSは①仮想マシンの作成/起動 ②5分毎にCPU,memoryリソースをチェックすることで

設定されている移行の閾値に応じてリソースの最適化を行います。

複数のリソースプールがあれば、リソースプール毎に最適化されます。

**vSphere 6.5からはNetwork Aware という機能により物理NICリソースも考慮されます

 

移行の閾値 は "3" が Defaultの値です。

"1" だとメンテナンスモード実施時のみDRSが動作します。

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実際の設定箇所だと以下。

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Predictive DRSは、利用状況やペースを把握/分析することに用いられるvROpsと連携する事で、

より「リソース管理の効率化」を果たすことを目的とした機能です。

 本機能を使用するためには、vROpsとvCenter Server 両方で有効化します。

なお、vRealize Operations Manager と vCenter Server それぞれでクロックを同期させる必要があります。

 

## vROps

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 ## vCenter Server

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Predictive DRSで抑えるべきポイント

 抑えるポイントは以下2つです。

 1.Predictive DRSは有効化されてから14日後に初めて恩恵を受ける

有効化して13日目までは、通常のDRSに基づいて動作します。

これは14日間を利用してリソース配分の予測値を算出するためです。

時間が経過するにつれ、予測の精度は上昇します。

 

 2.リソースの移行を判断するメトリックはMAX(A,B)ルールに基づく 

MAX(A,B) = MAX(現在の使用率,予測使用率) 

 ⅰ.予測使用率よりも現在の使用率が高い場合...
      現在の使用率を基にリソースの移行を検討します。

 ⅱ.予測使用率よりも現在の使用率が低い場合...
     予測使用率を"現在の使用率"として扱い,

      先んじて"今後想定されるリソース配分率"になるようDRSが動作します。

      つまり、Predictive DRSは"今後想定されるリソース使用率の上昇"に基づき動作します

 

Predictive DRSの使いどころ

 Predictive DRSは、「ある程度予測可能な周期的リソース変動」に対して効果を発揮しそうですね。

  ✅ 24h/365d TurnOverで利用されるVDI環境での ログイン/ログオフストーム

  ✅ ECサービス環境での定期セールによるアクセス上昇

  ✅ 動画定期配信サービス環境での接続数上昇

 

翻って、突発的なリソース消費には対応が難しそうです。

例えば、ノード障害やメンテナンスでDRSが頻繁に動作した際、

Predictive DRSを有効化して日が浅いと想定していないリソース配分が実行される可能性がありますね。

 長く利用していくことで徐々に精度があがり、効果を発揮していきそうです。

 

参考資料:
- New vSphere 6.5 DRS White Paper released
https://blogs.vmware.com/vsphere/2018/04/new-vsphere-6-5-drs-white-paper-released.html 

- VMware World 2017 : Extreme Performance Series: Predictive DRS - Performance and Best Practices
https://static.rainfocus.com/vmware/vmworldeu17/sess/1496368002323001drsB/finalpresentationPDF/SER2849BE_EMEA_1507847103171001IH7z.pdf 

- INF7827 DRS Best Practices
https://www.slideshare.net/BrianJGraf/inf7827-drs-best-practices 

- vSphere Predictive DRS の構成
  https://docs.vmware.com/jp/vRealize-Operations-Manager/6.4/com.vmware.vcom.core.doc/GUID-D830E36D-08A3-4D1A-87EC-0EC6217D1761.html